日本の標高は、東京湾の平均海面 T.P.(Tokyo Peil)が基準です。その平均海面を測るための水標は、隅田川(昔は荒川と呼ばれていた)の河口付近にある霊岸島水位観測所に設けられ、その零位は A.P.(Arakawa Peil)と名付けられています。つまり、隅田川や荒川は、日本の標高界の主役をつとめてきた川なのです。それなのに、その荒川の河川工事を行う時に、高さの基準となるのは岩淵基準点なんだそうです。なぜ素直に A.P.が基準だと言わないかなぁ。
岩淵基準点を発見!
隅田川は荒川から分岐します。その分岐点から歩くため、赤羽で降りました。
隅田川の上流にある新河岸川を国道122号線で渡るために北に向かうと、1番街を歩くことになりました。魅力的なお店がずらりと並んでいるので、入りたくなる誘惑を抑えるようと上を向いたところ、ゆるキャラのあいちゃんを発見。赤い羽根を生やしているので、赤羽のマスコットということがすぐに分かりました。その下のSOEYさんのマスコットの羽の色が白いのは、キャラがかぶるのを防ぐためでしょうか。
新河岸川を渡ります。西の方には赤羽桜堤緑地が広がっています。あと3週間くらいで、きれいな桜が咲き揃うことでしょう。荒川は、赤羽桜堤緑地のさらに向こう側を流れています。
荒川に出ました。
川の中に見えるのは浚渫(しゅんせつ)船でしょうか。まめに水深を深くしておかないと、洪水が怖いですからね。
少し下流に歩くと水門が見えてきました。
赤い水門が旧岩淵水門で、青い水門が岩淵水門です。
こうやって並べてみると高さがだいぶ違うんですね。
堤防の下には荒川治水資料館があります。
今までに2回来たことがあるので、今回は中には入りませんでした。
資料館には荒川下流改修事務所主任技師であった青山士(あきら)さんの業績や持ち物が展示されています。この展示を見て、僕は青山さんを尊敬するようになりました。調べていただければすぐにわかるように、とにかく、立派な人です。
荒川放水路の完成記念碑がありました。大規模な土木工事の責任者だったら、完成記念碑に自分の名前をこれみよがしに刻みそうなものです。でも、青山さんは、巨大な土木工事は関係者全員の成果として、自分の名前を出しませんでした。このような行いが、かえって名声を高めるんですよね。
さらに荒川治水資料館の前を散策すると、「水準基標 岩淵基準点」を発見!
柱の横には「この基準点は荒川の河川工事の行う時に高さの基準としています」と書かれていました。さらに高さの値も書かれています。写真を写した時にはそれに気付かなかったため、ぼんやりとしか写っていません。解像度を下げる前の写真を最大限に拡大すると、8.208mと書いてあるように見えます。他のブログではA.P.+8.259mと報告されていますから、2011年の震災で5cmくらい低くなったのでしょうか?A.P.と岩淵基準点の関係は時代とともに変わってしまうので、A.P.より岩淵基準点を高さの基準にした方が堤防をフェールセーフに設計できるのかなぁ?よくわからないから、まぁいいか。
隅田川を歩く
旧岩淵水門を通り越して振り返って撮った写真です。左手前に流れ込んでくる水が隅田川になります。綺麗な景観です。
でも、旧水門の右側に切れ目を入れた理由は何でしょうか?
切れ目がなくても旧水門を開けっぱなしにしておけば、隅田川への水量を十分にまかなえるのではないでしょうか?
開けっ放しにするより多量の水を流したいことがあるから?
でも、そんな場合には、隅田川の下流で洪水が起きてしまいますよね。この理由もよくわからないから、まぁいいか。
岩淵水門の脇にはヘリポートがありました。
ヘリポートって、ヘリコプターが着陸し易いように、真っ平らに作ってあると思ったら、中央が高く、周囲が低く作られていました。確かに、雨が降った時に水たまりになるのは嫌ですもんね。となると、空母の甲板にも排水のために傾斜がついているのかなぁ。
いきなり現れた20Rの文字。海から20kmの地点だからのようです。右岸だからRが付いているのかな。
最近、空から読める大きい文字を何度か見る機会がありましたが、大抵、西側から読めるように書いてあります。緊急時のヘリコプターは西からやってくるのでしょうか。
いきなりプラントが出現。こういう化学プラントの配管って、なんでこんなに複雑なんですかね?もっと簡単にできないのかな?いつも疑問に思います。格好はいいんだけどね。
今度は丸い建物が2つ出現。学校のようです。プラネタリウムでも見ることができるのでしょうか。
隅田川って、いろいろな形の橋がかかっているらしいですね。この新田橋は橋脚の形が珍しいです。
豊島橋まで来ました。
6週間前に、石神井川沿いを河口から歩く際に渡った橋なので、親近感を感じます。今日はその時とは逆に歩いて、扇大橋から帰ることにしました。
散歩データ
コース:JR東北線 赤羽駅 → 隅田川 → 東京都交通局日暮里・舎人ライナー 扇大橋駅
距離:9.1km
時間:2h9m
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